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なぜ、美女を乗せたオープンカーは大通りに集まるのか?

2017.7.22 | ,

今から1ヵ月ほど前、大阪の心斎橋に行った時のこと。この日、僕は彼女の買い物に付き合っていて、ある1枚のTシャツを探すために、3店舗ほどお店を回ったところでした。

どうやら「Instagram」で彼女が好きなモデルが来ていたTシャツらしいんですが、SNSに載った影響からか、どこへ行っても売り切れ状態。スタッフさんの話によれば、予約はできるけど、なんと、早くても3ヵ月先の入荷になるかもしれないとのこと。(そこで僕は、「いや、3ヵ月先とかもう夏終わるじゃん…」という言葉が喉から出かけたのを飲み込み、彼女が予約するのを眺めていました。笑)

正直、このTシャツはそこそこ有名なブランドのものなんですが、一見なんの変哲も無い、ブランドのロゴだけが書かれたシンプルな白のTシャツです。別に特別いい素材を使っているわけではないのに1万円近くします。

正直、別のブランドのお店に行けば、もっとデザイン凝ったものもあるし、3ヵ月も待たずにすぐに買えます。でも、これがいいと彼女は言います。 もはや職業病ですが、気になったので、何でそれがいいの?と聞いていくと、、「好きなモデルと同じやつだと、なんかキレイになれる気がする。キレイになった気がする。」みたいな言葉が出てきました。

まあ僕は男なのでまったく理解できないんですが…その言葉を聞いた時、、ある伝説のセールスライターの本に書かれていた「人間の欲望」についての内容が、ストンと腑に落ちる感覚を味わいました。それは一体何なのか? いくつかのケーススタディとともに、今日はそれをシェアしていきたいと思います。

人間が持っている”第2の欲望”

リッチを始め、世界トップクラスのマーケッターたちがこぞって絶賛。亡くなってから何十年も経つのに、書いた本やコピーが研究され続けている伝説のセールスライター:ジーン・シュワルツ。彼は1000億円以上の本を通信販売だけで売り、あまりに儲かったため、ニューヨークに個人のアートギャラリーを持っていたというほど。。
そんなジーンは、人間の欲望や、購買に至る感情について徹底的に研究し尽くした人として知られているのですが、、彼は欲望について、こんな感じのことを言っています。
まず、お腹が空いているから何かが食べたい。太っているのが苦痛、恥ずかしいから痩せたい。このような、何かを得たい。苦痛を避けたい。という欲望は人間が持つ「第1の欲望」である。しかし、、同時に人間の心の中には、別の種類の欲望が存在する。
それは第1のものよりはるかに微妙で、半ば無意識のもの。それは欲望の充足というより、むしろ自己表現を求める心であり、それこそが第2の欲望・・”同化欲”と呼ばれるものだ。


 

そして、この”同化欲”というのは=見込み客が人生において、ある役柄を演じたいという欲望であり、周囲の世界で自分を位置付けたいという欲望。自分で考える自分の値打ちや、自分の勝ち取った地位を表現したいという欲望でもある。そんな風に彼は言っています。

冒頭で紹介した、彼女の購買の動機は、まさにこの”同化欲”に基づくものです。そして、かなり前からそうなんですが、モノが豊富にありすぎる現代では、こっちの欲望に基づいてモノを買うことがほとんどになっていますよね。

そのため、われわれ起業家やセールスライターは、この”同化欲”を欲望を作り出すための手段として活用すること、すなわち自分の商品に適当な同化の対象としての性格付けを行うことは、説得のための第二の重要な仕掛けだ。と、ジーンは言っています。

人は単に「モノ」ではなく、役柄を買っている

では、この”同化欲”を自分の商品・サービスにどう応用すればいいか?ということですが、それには2つの方法があると彼は言っています。それに当てはまるケーススタディをいくつか探したので、合わせて少し紹介しますね。

⑴:商品を見込み客がなりたい役柄を演じるための「道具」にすること

こちらの役柄というのは、見込み客の性格を規定するもので、、通常、形容詞や形容詞から転じた名詞え表現されます。(賢い、都会的、クール、キレイなどなど)

見込み客の個性の一部を表現するもので、たくさんあるもののうちから、最もお気に入りのものを選び、他の人の注意を集めようとします。なので、そこをサポートする「道具」としてあなたの商品・サービスを位置付けるわけですね。

例えば、「食べ物」ひとつとっても、今は生きるためだけに食べ物を選ぶ。とにかく食欲を満たしたいから食べ物を買う。そんな人はほとんどいないですよね。ほとんどの人は自分に合った食べ物、自分の役柄にピッタリと合う食べ物をセレクトするわけです。

例えば、若々しくありたい、いつまでもキレイでスラッとしていたい、時代遅れだと思われたくない。そんな風に考えている主婦の女性なら、その辺の安いスーパーではなく、あえてオーガニックスーパーで買い物をしたり、センスのいいレストランやオーガニックカフェを選ぶでしょう。もはや単に食べ物ではなく、役柄を買っているのです。

冒頭に出した彼女の例もこの⑴の例に当てはまるのですが、、もうちょっと若い世代の女性なら、、Instagramで好きなモデルがアップしていたから、あの人みたいにキレイになりたい、見られたいから同じTシャツを買う。ドトールみたいなチェーン店のカフェではなく、好きなモデルが写真をアップしていたカフェで、めちゃ高いコールドプレスのジュースを飲んだり、、ということをするわけですね。

なので、あなたの商品を見込み客がなりたい役柄を演じるための「道具」にすること。これがうまくできると、あなたの商品・サービスには強力なファンがつくようになるでしょう。いくつか例をあげると、、

ハーレーダビットソン:
何百万円もするハーレーダビットソンのバイクに嬉しそうにまたがるワイルドな男たち。彼らは男らしく見られたい、ワイルドに見られたい。その道具として、他のバイクではなくその象徴として、「ハーレーダビットソン」のバイクを選びます。

むしろ、中にはバイクは買えないけど、ハーレーダビットソンのTシャツを着たり、ロゴをタトゥーにまでして歩き回る人たちがいるほど。これ、よく考えてみて欲しいんですが、、単なる企業の”ロゴ”ですよ? 冷静に考えたらそれを体に彫り込んで歩き回るっておかしくないですか?…笑

(www.pinterest.jpより転載)

社員でもなく、バイクさえも持っていない人が、自ら進んで歩く広告塔のようになっているわけです。それほどこの”同化欲”というのは強力なものだと言えるのではないでしょうか。

Apple:
また、クールに見られたい。賢くスマートに見られたい。そんな人たちが愛するのが、Macを代表としたApple製品です。スタバで嬉しそうにMacのラップトップを蓋を開いてパソコンをいじる人。(どうやら、最近ではスタバでMacをいじる人のことを”ドヤラー”というらしいですね。なんかこの流れが進むと逆にダサくなりそうですが。。それだけ多いようです。)
参考:「ドヤラーについて」

また、空港のロビーの待ち時間で、わざわざMacを取り出して、、ピカピカと光る白いリンゴのマークを見せつける人。などなど、、それ以外の場所でもたくさんいますね。

最近はデザインが良くなってきていますが、、彼らはWindowsは絶対に使いませんし、むしろ嫌ってさえいます。Mac、Ipad、Iphoneと、、全てApple製品で固めています。Appleはこの同化欲の力を本当にうまく使っています。

テスラ・モーターズ:
なぜ、車に興味すらなかった人が、テスラの何百万、何千万円もする高級車を買いたがるのか? アメリカのサイトや記事を見ていると、20代とお金もないのに、テスラが欲しいという人がたくさんいたのですが、、これも同化欲からです。

電気自動車、太陽光発電、宇宙事業、ハイパーループなどなど、、前例のないスケールの大きなビジネスを次々に手がける創業者:イーロン・マスクのチャレンジングな姿勢に自分自身を重ねているのです…

すでに獲得した役柄は”ひけらかす”ことが重要

⑵: 商品を見込み客がすでにその役柄に到達していることを示す「証拠」にする

2つ目の方法はこれです。1つ目はその人がなりたい役柄を演じるという位置付けでしたが、こちらは、すでに獲得した役柄、その地位や階級、身分などを表す証拠(シンボル)としてあなたの商品を位置付けるという方法です。

これらの”役柄”というのは獲得し、保持し、ひけらかさないといけない。とジーンは語っているのですが、中でも特に”ひけらかす”ことが重要だということを強調しています。なぜなら、、役柄(地位や階級、身分)などは、そのままでは人目につかないからです。

まあ当然ですが、俺は金持ちなんだ。仕事で成功したんだ。そんなことを言って回るわけにはいかないですよね?なので、まずはそれを周りに分からせるために、その力を成功の物的なシンボル、わかりやすいシンボルへと移し変えて見せる必要があるのです。

具体的には、いわゆる高級ブランドの服やバッグ、靴、ジュエリー、腕時計。それから高級車やタワーマンション、豪邸などがそれにあたります。こちらは非常にわかりやすいので、説明不要でしょう。

ちなみに僕はよく、大阪の本町にあるスタバにいるんですが、そこではこの光景がよく見られます。ちょうど御堂筋という大通りの交差点に位置していて、お店の前に少しだけ路上駐車できそうなスペースがあるんですね。ここは席から丸見えで、大通りなので目立ちます。そうすると何が起きるか?…

ランボルギーニ、フェラーリ、ポルシェなどの高級車に乗った人がそこに車を止め、わざわざスタバのコーヒーをテイクアウトしに来るんです。不思議なことに、見事に高級車ばかりがずらりと並ぶんです。そして、おそらく経営者と思われるブランド品で身を固めた風貌の男性と、助手席から降りて来る美女。あまりにわかりやすいシンボルなんですが、、ここにいると毎日のようにこの光景は見られます。笑

”同化欲”を利用するための2つのステップ

では、最後に簡単にですが、、この同化欲をあなたの商品・サービスへと応用するためのステップを紹介して終わりにしますね。

ステップ①:
商品を買うことで同化できる役柄を見つける

まずあなたが最初にやるべきことは、商品を買うことで同化できる役柄を”正しく”見つけることです。どのような種類のものは嫌われるのか、受け入れてもらえるのはどれか。どれが一番売る力があるのか。といったことを、自分の商品と、見込み客にリサーチをする中で見つけていきます。

大概の商品には、すでになにかしらの役柄・性格が内包されています。それは何か?をまずさぐり当て、見込み客が欲しいイメージを探り、商品がすでに持っている性格と、商品に持たせたい(つまり見込み客がなりたい)と願うイメージの架け橋として、擦り合わせていくようにしましょう。

この中でも、「どのような種類のものは嫌われるのか」というのを知るのは結構大事です。例えば、、リッチの例でいくと、リッチは腕時計をロレックスではなく、パネライというロレックスほど知られていないブランドを愛用しています。そして、車もフェラーリは嫌い、ポルシェを愛用しています。

どちらも、成功していることは示したいが、あまりにひけらかし過ぎている印象は持たれたくない。という理由からだと言っていたのですが、見込み客のタイプによって、この辺りは全然変わって来るのです。

ステップ②:
その選んだ役柄をイキイキと、手に入れずにはいられないように描写する

あなたの商品・見込み客、その両方のリサーチが完了したら、次は広告などでそれを描写します。ここでのポイントは、セールスライティングの基本ですが、、見込み客からスタートすること。

もしあなたが、見込み客の持つイメージをぶち壊して、全く逆のイメージを受け入れようとさせようものなら、、「そのようなことをするのは、牢獄の壁のようであることを知るだけだろう。」とジーンが言う通り、確実に失敗することになります。

以上、これが簡単ではありますが、”同化欲”という人間の2つ目の欲望を利用するための2つのステップです。使いこなすのは簡単ではないですが、これをうまく利用することで、あなたの商品は単なる商品を超えたものになります。うまく利用することができれば、、たとえあなたが扱っているものがありふれたコモディティ商品だとしても、競合とは全く違うものとして位置づけることができるでしょう。

萩原 敬大

萩原 敬大
萩原 敬大

Strategic Profits マーケティングマネージャー
メールマガジン購読者数41,238人(2017年1月5日時点)日本におけるリッチ・シェフレンの独占販売権を持つ【Strategic Profits】のマーケティングマネージャー兼セールスライター。販売プロモーションの企画、広告運用、セールスコピーのライティングなどを統括している。

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