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商品は完成させるな

2017.6.10 | 
From:萩原 敬大(はぎわら たかひろ)

①1分間で540万円

②1分間で480台

今、あなたがこのブログを見ているほんの一瞬の間に、これだけの売上を上げている会社があるんですが、、これがどこかわかりますか?

そう...①は、売上高約10兆円を稼ぐ、世界でもトップクラスのIT企業「Google」で、②は、時価総額世界1位、売上高約22兆円を稼ぐ「Apple」が1分間に売っているiPhoneの台数です。

Appleは創業から40年ほど。Googleに至っては創業からまだ20年も経っていない企業ですが、、売上高10兆、20兆といえば、世界の国の国家予算ランキングに置き換えてもトップ30位に入ってしまうレベルですから、、これがどれだけ凄いかがご理解いただけると思います。(ちなみに20兆円というと、韓国、メキシコと同じくらいのようです…)

この2社に関しては、数々の優れた点があるんですが、、今日はその中でも1つの大きな成功の秘訣。われわれ小さな会社や、起業家でも多いに参考にできそうな1つの秘訣を見つけたので、いくつかのエピソードとともにご紹介したいと思います。

 

Googleの看板サービス「Gmail」開発秘話


 

今ではかなりメジャーになり、おそらくあなたも使っているであろうGoogleの無料メールサービス「Gmail」。この「Gmail」というのは、特に最初から商品化しようと力を入れていたわけではなく、、グーグルの1社員が片手間で開発を始めたものでした。

その後、しばらくしてから、それをリリースをしてみよう。という話になったのですが、、当時、すでにリリースされて人気を保っていた「Yahooメール」や「MSN」など、先をいっている他社のサービスがいくつかある状態。それと比較すると「Gmail」はデザインもイマイチで、未完成…社内の多くの人が、「こんなん本当に売れるのか?」と、疑うようなレベルでした。

しかし、、そんな状態にもかかわらず、創業者ラリー・ペイジの薦めにより、とりあえずリリースをしてみることになりました。

ちなみに、あまりにスピーディにリリースを決めたため、リリース間際だというのに、実はサーバーの容量さえも十分に確保できていない状態。。そこで、古すぎて誰も使っておらず、社内に転がっていたパソコンを活用して、なんとかリリースに間に合わせた。そんなエピソードがあるくらいなので、、創業者は品質よりもとにかく出すことを優先しよう。ということを第一に考えていたことが伺えますよね。

でも、ひとたびこの「Gmail」をリリースしてみると、、意外にもすごい反響があることがわかりました。どうやら、顧客はその他の無料メールサービスとは違って、Gmailの容量の大きさが気に入っているようでした。

そこで、最初は容量の関係もあり、招待制の形をとりつつ、、サービス自体は「サンプル状態の未完成」を意味する「beta版」として、その間に「アップデート」を続けながらじわじわと改善して広げていったそうです。(長らくロゴに表示されていた「beta」の文字は、リリースからなんと5年もの間、外されることがなかったとのこと。)

その結果、、「Gmail」は2016年時点で月間アクティブユーザー数が”10億人”に達するほどの、Google内でも屈指の人気サービスになっています。

ちなみに、「Google」の前身である検索エンジン「BackRub」をリリースした創業期には、問い合わせ先として創業者のラリーペイジの電話番号をそのまま記載していたらしく、、いかに素早くリリースして、やりながら改善していこう。そんな創業者の姿勢が「Google」には、今でも色濃く残っているようです。

 

超スピードで世の中に製品を送り出し、
そこからアップデートを繰り返す「Apple」


 

この姿勢は「Apple」にも共通するところがあります。創業者のスティーブ・ジョブズがとても有名ですが、彼はスピードに異常なまでのこだわりを持っていました。

社員が「それは3カ月かかります」と言った仕事を「一晩でやれ」と一喝するなど、、何かを作ると決めた時に、数年、数カ月というスパンでの計画は認めなかったと言われている、まさに”スピード狂”のスティーブ・ジョブズ。その凄さは、こんなエピソードにも残っています…

「Apple」の株式が公開される前年に、ゼロックスのベンチャーキャピタル部門は、Apple株に10万株で100万ドルの投資をしました。ゼロックスは、投資相手からは必ず5年計画を提出してもらっていたのですが、実際には、どんなに優れた企業でも計画実現に7年はかかっていたそうです。

そこを「Apple」は、わずか1年半で計画を達成。その上、投資した100万ドルは約20倍の2000万ドルの価値になっていて、、ゼロックスの度肝を抜いたと言われています。

この「Apple」のスタイルも「Google」と同じで、完璧な商品を最初から作るというより、とにかく早くリリースをして、出してから改善を繰り返していくということ。あなたもiPhoneやmacのパソコンを使っているならお分かりだと思うのですが、、「Apple」はとにかくアップデートが多いです。

正直言って、初期は不具合が結構多いんですが、、そこから頻繁にアップデートして精度を上げていき、クオリティの高い商品へと近づける。お客さんの満足度を上げていく。そんなスタイルをとっています…

 

”起業家は不確実な世界に住んでいる”


 

”「起業家は先の見えない不確実な世界に住んでいる。」”

これは、リッチが常々言っている言葉ですが、、インターネットの発展によって変化のスピードはどんどん速くなり、その不確実性は年々高まってきています。

絶対に確実な方法など存在しない・・そんな状況で成功の確率を高めていくには、やはり「Google」や「Apple」がとっているアプローチと同様に、最初から完璧な計画を作ったり、完璧な製品を作ろうとするのではなく、まずはある程度のところまで作って出してみること。なぜなら、、いくら完璧な計画・商品を事前に作ったところで、それは売れるかどうかわからないからです。

売れなかったら、それにかけたお金・時間は全てが無駄になるので、できるだけリスクが減らせるように、とにかく小さく初めて、テストできる方法がないかを考え実行していく。これが不確実な現代では最良の方法です。

一発で倒産に追い込まれるような致命的な失敗はもちろん避けないといけないですし、そんなリスクは取れませんが、、新しく始めた事業や試みの90%以上は失敗すると言われているので、”小さく失敗することはむしろ失敗ではなく、成功するために必要なステップなのだ。”リッチはそんな風に言っています。

 

リッチが過去に犯した”残念な間違い”…


 

しかし、そんなリッチでも、このような考えに至るまでに、ある残念な間違いを犯してしまったことがあります。それは、リッチがインターネットマーケティングをはじめてから数年ほど経ったときのこと・・

当時、社内のマーケターとともに、新しいフロントエンド商品を準備していました。それは4,900円のレポートだったのですが、リッチが思うに、「これほど素晴らしい内容のものは過去にない。」「これは間違いなく売れる。」そう確信するほどのものだったそうです。

価格も安いことから、リッチはこのレポートに関して売れることを確信しました。そこで、フロントがたくさん売れると、人がたくさん流れ込んでくるので、、”その直後に売るバックエンド商品(いわゆるアップセル)の販売プロセス”をじっくりと作り込んで、広告費をたくさんかけても最初から回収ができるようにしよう。そう考えて、2週間以上の時間をかけて、非常に洗練された販売プロセスを作り上げたそうです。

そして、満を辞してそのレポートをリリースしたところ・・・なんと、売れると思っていたフロントエンドのレポートが”全く売れませんでした…”


つまり、、世界トップマーケターのリッチの高い時給をたっぷりと使って作り込んだ、、その後ろの販売プロセス作りの仕事の”全てが無駄”になってしまったのです。

本来、フロントエンドが売れるかどうか、とりあえず小さく広告を出してテストしてみよう。というプロセスを取るべきところ、商品への過度な自信から、、あのリッチでさえ、無駄な時間を使ってしまったのです…

それ以来、リッチはまず市場の反応を得ることを最優先にすることを決めました。そして、マーケティングのキャンペーンを最初に設計することさえも一切やめたそうです。とにかく出してみて、反応が良かったものをプロセスに組み込んでいく。仕組み化していく。今となっては、そんな実行ベースのステップに切り替えています。

 

”完璧を目指すよりもまず終わらせろ”


 

”「完璧を目指すよりもまず終わらせろ」”( Done is better than perfect )

これは、Facebookの創業者 マーク・ザッカーバーグの有名な言葉です。

また、この言葉について、、ハッカーは長期間に渡って最高のサービスを作るために、とにかく早くサービスリリースし、細かな修正、改善を繰り返して最高のサービスに近づけていくものだ。だから最初から完璧を目指すことはしない。そんな風に彼は言っています。「Facebook」もまた、ハーバード大学の校内ネットワークとして生まれたその日から、このような哲学を貫くことで、「Google」「Apple」と並んで大成功しています。

やはり、完璧を目指そうと思ったら、いくらでもできてしまうので、ついつい延々とやってしまいます。でも、それがこの不確実性の高い現代では命取りになります。やはりスピードに勝るものはないですし、、たとえ最高の商品、アイディアのように思えても、実際にそれを市場に出すまでは、うまくいくかどうかは誰にもわからないのです。

あなたが完璧な商品、アイディアを作り込んでいる間に、競合他社がガンガン市場で同じようなアイディアを試して改善していたら、どうでしょうか? おそらく、ヤフーメールとGmailの事例のように、競合が後から出てきたとしても、2つも3つも先に行かれてしまうでしょう。

とにかく早く、たとえ未完成でも小さく試す方法を考え、実行してください。不確実性の高い現代では、”「完璧を目指すよりもまず終わらせろ」”この考え方で損をすることは、、おそらくないはずです。
萩原 敬大

萩原 敬大
萩原 敬大

Strategic Profits マーケティングマネージャー
メールマガジン購読者数41,238人(2017年1月5日時点)日本におけるリッチ・シェフレンの独占販売権を持つ【Strategic Profits】のマーケティングマネージャー兼セールスライター。販売プロモーションの企画、広告運用、セールスコピーのライティングなどを統括している。

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