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メイドインジャパンを作った男

2017.3.2 | ,
リッチ・シェフレン
ナビゲーターの中谷です。

「中国製だから・・・」

と、品質が悪い代名詞として中国製の商品を揶揄することがあると思います。最近はそれも少なくなってきたかもしれませんが・・・。でも例えば、僕が以前、中国製の折りたたみ自転車を購入した時なんかは、折りたたもうとしたらバキバキと音を立てて部品が外れていき、もう組み立て不可能になって完全に戦意喪失したくらいですしね、、、もちろん中国製でもいい商品はあると思いますが、、、

でも、あなたは知ってましたか?定かではないですが1960年くらいまでは日本の工業製品が粗悪品の代名詞として扱われてたってことを。。。有名なバックトゥーザフューチャー3という映画でも日本製は粗悪ってシーンがあるのを覚えている方もいるかもしれません。今回は、そんな日本の製品が高品質の代名詞になるキッカケを与えてくれた男の話をご紹介します。

 

品質管理の父


「自分のしていることを1つのプロセスとして説明できないなら、自分のしていることが分かっていないということだ。」
これはリッチがビジネス・グロース・システムの中でシステム化について解説している時に引用していた言葉です。その言葉の引用元とされていたのがアメリカのイェール大学のウィリアム・エドワーズ・デミング博士。

アメリカ人であるデミング博士は、当時のアメリカでは誰からも相手にされなかったそうで、第二次世界大戦後に日本に渡ってきました。あのマッカーサーの下で日本政府の国勢調査コンサルタントを務めるなど、日本にゆかりのある人だったそうです。そんなデミング博士は品質管理の父とまで言われているそうで、日本の工業製品の品質を世界一の水準にまで引き上げるキッカケを与えたそうです。。。

僕はリッチの話で聞くまではまったく知らなかったんですが、調べたところによるとデミング賞なるものがあるそうで、その道の人達にとっては馴染み深いものみたいです。

つまり、今は高品質の代名詞として扱われているメイドインジャパンというブランドですが、ある意味でこのデミング博士の功績によるところが大きい。。。

 

長期的に利益を生むには


デミング博士が伝えた内容の中には、「市場から長期的に利益を生むには、品質の高い製品が必要」という教えがあります。これは本当にその通りで、何も工業製品に限った話ではないですね。リッチもコンテンツの制作についての話で、とにかく品質を上げろと言ってます。もちろん、ビジネスにおいてはスピードが大事なのは間違いないんですが、スピードを上げて商品を市場に送り出してからでも市場の反応を見ながらちゃんと品質を改善するようにって伝えてます。

リピーターを生むかどうかは品質にかかっている。。。正直なことを言うと、製品の品質が悪くてもフロントエンドを売ることは可能です。強力なオファーを提示したり、セールスライティングが上手であれば、大抵のものを売ることができます。実際に、最初に話した僕の体験と同じように、あなたも何か製品を買ったあとで、「失敗したーーー!」と嘆くことも少なくないと思います。。。それって品質が悪かったとしても見込み客に買わせることができてしまうという事ではないかと、、、

でも、リピーターになってくれるかどうかになってくると話は別。僕たちはLTV(顧客生涯価値)をできるだけ上げるようにビジネスを構築していく必要がありますが、それはつまり商品をリピート購入してくれたり、競合の店に浮気をせずに再びリピーターとして訪問してくれるから成り立つ話。ということは、顧客のLTVを上げることで利益を出そうとするなら、品質を高くするというのがとても重要だってこと。。。それを僕たち日本人に教えてくれたのが、デミング博士という事、、、

 

米国式に染まらなかった日本


欧米では四半期毎とか半期毎の損益報告を重要視する傾向があるようですが、最近は日本もその傾向が強くなってる感じで、とにかく短期的な利益を追っているように見えますね。でも、少し前の日本はそうじゃなかったと思います。もっと長いスパンで経営していたんじゃないかなと。。。

これを指導したのもデミング博士なんだそうです。博士は1年後、5年後、10年後にどうなるのかを見据えることが大事だってことで、長期的な展望を持つことを日本の経営者に伝えてたみたいで、それを僕たちの先輩である優秀な経営者の方々は取り入れていったと、、、

ちなみに、ここは四半期毎や半期毎といった短期の利益を追うせいで長期的な利益を犠牲にするのはどうなんでしょ?と言ってるだけで、経営状態の管理を長期スパンで見た方が良い、という意味じゃないので勘違いしないでくださいね。。。

 

原点回帰してみても良いのでは?


こんな感じで、戦後の復興から好景気を支えることになった日本の企業の考え方は、デミング博士による影響が大きかったんじゃないかと思います。そして、不景気になってからの日本は、その考え方に逆行して米国式を取り入れるようになってしまったように感じます。。。あくまで個人的な意見ですが(笑)

というわけで、ウィリアム・エドワーズ・デミング博士が掲げた、経営原則でもあるマネジメントの14ポイントをデミング博士の右腕として活躍されていた吉田耕作博士の書籍から引用したものをご紹介します。数値目標による管理をやめるとか、なかなかセンセーショナルな内容も含んでますが、何を言わんとしているのか、その本質を学んでみても良いかもしれません。。。僕たち現代の経営者や起業家が忘れてしまっている何かをデミング博士は教えてくれているかも。あなたは何かを感じますか?

 


1.競争力をつけ、生存し続け、そして従業員に職を与え続けるために、製品やサービスをつねに向上させる一貫した不動の目的を打ち立てること。

2.新しいものの考え方を採用すること。われわれは新しい経済時代に入った。西洋の経営者は挑戦に目覚め、自己の責任を理解し、変革のリーダーシップをとらなければならない。

3.品質を達成するために、検査に頼ることをやめること。最初の段階で、質を製品に織り込むことにより、大量の検査に頼る必要性を排除すること。

4.価格だけで仕入れを決定する習慣をやめ、その代わり、総コストを最低にすること。それぞれの仕入れ項目については、忠誠と信頼の長期関係にもとづき、仕入先を1社にする方向にもっていくこと。

5.質及び生産性をたえず向上させ、それによりコストをつねに低減するために、生産及びサービスを行うシステムをたえず向上させること。

6.実地訓練制を設けること。

7.リーダーシップを発揮すること。リーダーシップとは人々や機械や装置がよりよい仕事をするのを助けることである。経営のリーダーシップは、製造の作業員の指導同様、解体修理が必要である。

8.全員が会社のために効果的に働けるように恐怖心を取り除くこと。

9.部門間の障壁を取り除くこと。リサーチ、デザイン、販売、製造などにいる人々は一丸となって働き、できあがった製品やサービスに関して起こり得る製造上の問題を予知しなければならない。

10.“無欠点”や“より高い生産性を”、とかいうようなスローガン、激励、目標等は一切止めること。

11a.工場内で数量割り当てをやめること。リーダーシップで置き換えること。
11b.目標による経営をやめること。数字や数値目標による管理をやめること。リーダーシップで置き換えること。

12a.時間給労働者から彼らの仕事に対する誇りを奪うような諸障害を取り除くこと。監督者の責任は数量だけの管理から質の管理に変わらなければならない。
12b.管理職や技術者たちから彼らの仕事に対する誇りを奪うような諸障害を取り除かねばならない。これは、年次評価やメリット評価や目標による管理などの廃止を意味する。

13.積極的な教育及び自己啓発の計画を設定すること。

14.会社の全員をこの変革を成し遂げるために動員すること。変革はすべての人々の仕事である。


 

僕も心に刻み込みます

-中谷佳正

 

 

 

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リッチシェフレン
リッチ・シェフレン

グーグル、ヤフー、マイクロソフトなど、大手インターネット関連企業へのコンサルティングを行うネットマーケティングの第一人者。ビジネス戦略の構築を得意とする起業家で、マーケティングの世界で巨人と言われているダン・ケネディ、ジェイ・エイブラハムたちとパートナーシップを取り、指導を行っている。そんな経歴からリッチはグルズ・グル(Guru’s Guru = 先生たちの先生)と呼ばれる。

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