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あなたの”本当の”競合は誰か?

2017.2.25 | 
From:萩原敬大(はぎわらたかひろ)

2週連続になってしまいますが、、先日開催したザ・レスポンスサミットの講義の中で、とてもいい気づきが1つあったのでシェアします。これはおそらく、もともと競争心・向上心が強い社長・起業家の方が陥りがちなポイントかな…と思ったので、きっとあなたの役にも立つはずです。

サミットの一番最後の講義では、ダイレクト出版の代表を務める小川が「10年社長をやってわかったこと」というテーマで話をしました。(ちなみにダイレクト出版は、今年で創業11年目を迎え、売上高50億円、累計顧客数は80万人を超えることができました。)

僕は入社してからまだ3年未満なので、創業期からいるわけではないんですが、、アメリカのDRM業界の多くの有名クライアントとの独占契約を結んでいたり、評価の高いカスタマーサポートを自前で持っていたり、数々の優秀なアウトソーサー・パートナーさんとの協力体制を築いていたりと、、決して自慢ではないのですが、中から見ていても、10年足らずですごい会社を作れるものなんだなー…ということをひしひしと感じます。

講義の中で、そんなダイレクトを作った小川が、この10年を振り返って、長期的に続く会社を作る上で役立ったポイントをいくつか挙げていました。そのポイントには、継続課金サービスを持つこと、長期と短期は矛盾する、才能より忍耐、困難が必要・・などなど、色々とありましたが、中でも個人的にハッとさせられたのが…

 

競合が自分を作る


 

というマインドセットです。
これは、競合こそ自分(自社)の鏡であって、誰を競合と考えるかによって自分のレベル、成長できるレベルが決まってしまう。なので、自分と同じ業界の似たようなレベルの人を競合だと考えていると、いつまでたってもその競合との争いを繰り返すだけで、似たようなレベルに落ち着くか、よくてちょっとだけ上に行く。そんなレベルで終わってしまうということです。(これは会社じゃなくて、個人に置き換えても全く同じことが言えますね。)

これって、まあ言われてみれば確かにそうなんですが、ついついやってしまいがちではないでしょうか?なぜなら人間は結局、人と比べて価値の優劣を判断する生き物で、特に目につきやすい周りの人は比べやすく、気になるものだからです。

同業者よりうちの方が売上が高いとか、同業者がこれをやっているから、うちもこれをやらないといけないとか。もしくは、同世代の起業家で、どっちの方がでかい会社を経営しているとか、年収がどうとか、いい車に乗ってるとか、、どうしてもわかりやすいところに目がいってしまいますよね。(特に起業家タイプの人は競争心が強いですし、向上心があるので、そうなりやすいんじゃないかなーと思います…)

その結果、競合に引っ張られてしまって、いつまでたっても同じようなレベルにしかならない…勝ったら勝ったで満足してしまって、やる気がなくなる…その繰り返しです。

 

競合=自分の鏡


 

講義の中で、小川がダイレクト出版を起業したての頃の話をしていましたが、起業当初、まだ売上も立っていない頃に、小川が競合と考えていた会社は、通信教育業界で売上高約450億円を誇る「ユーキャン」だったそうです。

なんともでかい目標だな…と、さすがに僕もビビりましたが(笑)、やっぱり上場企業とか、段違いにレベルが高いところを競合として意識すると、あらゆる基準が上がります。サービスのレベルは?商品の質は?競合に追いつくためには何をしないといけないのか?...このような”高い基準”というのは、隣の中小企業や仲の良い友達と比べていては、絶対に得ることはできませんよね。続けて小川は...

”「やっとユーキャンの売上の1/10まで来たから、次の競合はリクルートかなあ…」”(連結売上高1兆5,886億円)と、さらりと言っていたので、またビビりましたが、、一社員として考えれば、そのようなでかい競合にチャレンジする”集団の一員になれる”というのは、とても誇りが持てますし、ワクワクします。

 

~BHAG~社運を賭けた大胆な目標


 

これに近い考え方で、BHAG(社運を賭けた大胆な目標)というものがあります。これは、「ビジョナリーカンパニー時代を超える生存の原則」という書籍で紹介されている概念で、企業の進歩を促す強力な仕組みの1つと言われる要素です。

何度かこのメルマガで紹介している「ビジョナリーカンパニー」は、何百年と続く飛び抜けて優れた企業と、そこそこ優れた企業は何が違うのか?ということを、膨大な研究の結果明らかにした本です。そのうち飛び抜けて優れた企業(つまりビジョナリーカンパニー)18社のうち14社が、このBHAGという目標を意識して使っていたということがわかっています。(逆に、そこそこ優れた企業ではほぼ使っていませんでした。)

ここで、ちょっとこのBHAGについての記述を引用しますね。

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”BHAGとは極めて大胆であり、理性的に考えれば、「とてもまともとは言えない」というのが賢明な意見になるが、その一方で、「それでも、やってできないことではない」と主張する意欲的な意見が出てくる灰色の領域に入るものである。BHAGは単なる目標ではない。社運を賭けた大胆な目標なのだ。”


また、面白いことに、、
”BHAGは社内から見た時より、社外から見た時の方が、はるかに大胆に見える。ビジョナリーカンパニーは、いくら大胆だといっても、神々を恐れぬほどではないと考えている。掲げた目標を達成できないとは、全く考えてもいないのだ。”
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「ビジョナリーカンパニー時代を超える生存の原則」ジム・コリンズより引用

たいていどの企業も目標は持っていると思いますが、いわゆる普通の目標と、口にした時に思わず「ちょっとそれは…」と、社員がひるむほど大きな目標に挑戦することの間には、ビジョナリーカンパニーの事例を見る限り、社員のモチベーションだったり、達成への意欲に大きな差があるそうです。

では、例えば、ビジョナリーカンパニーと呼ばれる会社はどんな目標を持っていたのか、誰を競合と考えていたのか、その事例をいくつか紹介します。

 

Case1:フィリップモリスとR.Jレイノルズ


 

かつてアメリカのタバコ業界では、R.Jレイノルズが35%のシェアを握り、圧倒的なトップでした。それに対し、フィリップモリスは業界6位の目立たない会社で、シェア10%にも満たない状況でした…

そこでフィリップモリスが競合として考えたのは、R.Jレイノルズ・・ではなく、業界を飛び越えて、世界市場で圧倒的なトップをとっていた自動車メーカー「ゼネラルモーターズ」でした。

そこでフィリップモリスが設定したBHAGは、「タバコに対する社会的圧力がある中で、業界の巨人を打ち倒し、業界のゼネラルモーターズになる!」というもの。その時他の順位にいた競合は、一切そのような目標を持たず、1位のR.Jレイノルズに至っては、その地位にあぐらをかいて、動きも鈍く、株主に高い利回りを提供することだけを考えていたそうです。

冷静に戦略論で考えたら、これは傲慢で馬鹿げた戦略に思えますが、、フィリップモリスの社員たちは業界の巨人を倒そうと興奮し、燃えていました。結果、フィリップモリスはR.Jレイノルズを1位から引きずり下ろし、ビジョナリーカンパニーとして君臨するまでになりました…

 

Case2:フォード


 

フォードの場合は、当時ようやく芽生えたばかりで、市場が確立していなかった自動車業界で、シェアを競う30以上の会社の1つにすぎませんでした。もちろん、まだまだ業界はカオス状態だったので、トップを確立した会社はありません。

なので、競合を倒すというわけではなく、ほぼほぼ”馬車”がメインだった時代に、「自動車を大衆の手に届け、全員が乗用車を持つのが当たり前になる」という壮大な目標を掲げました。

この突拍子もない目標でフォードの設計陣は活気付き、毎晩10時、11時まで猛烈に働くようになったといいます。たとえ難しくても大きな目標に挑戦すれば、社員は「自分たちは特別で、並外れたエリート集団の一員だ」という感覚を持てるようになるのがBHAGの1つの特徴でもあります。

その結果、フォードは業界トップの地位を確立し、道路には馬車の代わりに乗用車が溢れるようになりました。

ただ、ここで注意すべきなのは、”BHAGが有効なのは”目標が達成されていない間だけ”ということ。達成する前に別のBHAGを用意して、すぐに設定しないと、「目標達成症候群」という自己満足による無気力状態に陥ります…

結局、フォードはこれをしなかったので、トップになったあと、「フォードを抜いて業界トップになる!」というBHAGを掲げたゼネラルモーターズに負けたというオチがあります…

 

リッチの事例


 

リッチもこのBHAGをうまく活用している起業家の一人で、まだ創業したての売上も立っていない頃から、ビジネスコーチングでは業界トップクラスのイーミス(E-myth)を競合と考えていました。たいていの競合が、同じような売上のインターネット起業家ばかりをライバル視していた中で、全く違う、はるか高いところを見ていたというわけです。

 

あなたの競合は誰ですか?


 

あなたはどうでしょうか?これまで誰を競合と考えていましたか?もし、身近な人や自分と同じようなレベルの中小企業を競合相手だと考えていたなら、、新たに誰を競合として考えますか?(これはもちろん、個人レベルでも同様です。)

正直、競合はココ!と、宣言するだけならタダなので、大きく考えてみてはいかがでしょうか?(笑)ビジョナリーカンパニーによると、その相手を思い浮かべた時に、、

・会社に前進をもたらすか?
・会社に勢いを作り出すか?
・自分、社員はやる気になっているか?
・興奮するか?
・それに向かってエネルギーを注ぎこめるか?


このような気持ちが湧いてくるなら、、その競合相手は相手として不足はない。と言えるそうですよ。ぜひ、考えてみてください。

萩原敬大



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萩原 敬大
萩原 敬大

Strategic Profits マーケティングマネージャー
メールマガジン購読者数41,238人(2017年1月5日時点)日本におけるリッチ・シェフレンの独占販売権を持つ【Strategic Profits】のマーケティングマネージャー兼セールスライター。販売プロモーションの企画、広告運用、セールスコピーのライティングなどを統括している。

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